詩を書くに当たって効果的な修辞法(表現技法のこと)を知っているほうが印象に残る余韻のある作品が出来ると思います。そこで修辞法の一覧を記そうと思います。学校の詩や短歌の参考になれば光栄に思います。
・「まるで」「のように」などの比喩の働きがある助動詞などを用いてたとえていることが明瞭である形の比喩。
例 綿飴のような雲が空を覆い始めて世界を夜のように暗くした。
・比喩の意味を持つ助動詞などを直接用いずにたとえる形の比喩。
例 君は僕を見守り、心を照らす僕の命の源だ。
・ある比喩を作り、その裏にある真意をほのめかし、心理に働きかけさせる比喩。
例 勝手にしろ。俺はここでおまえたちがインクのないペンをいつまでも振り回して紙がぐちゃぐちゃになるのを見ていてやるよ。
・全体のことの一つやその逆を用いて心理に働きかけて何を表しているか想像させる比喩。
例 パンのためにこんな行動をすることは誤っているのだろうか?
・物事の特徴・部分・付属物を示し、その本体を表す比喩。
例 長い鼻を持つ獣が倒れる夢を見た。
・人間以外のものを人間の行動などと見立てる比喩。
例 空から雪がワルツを踊りながら落ちてきた。
・擬態語や擬声語を用いて物事の状態や動作を音声にたとえる比喩。
例 カーテンがさらりと翻る(ひるがえる)。
・実際よりも大きく表現をするなど、物事の存在を強調するもの。
例 卓球のボールみたいに小さい顔をした女の子のことかい?
・叙述の順序を入れ替えることで余韻を強くする方法。
例 私は言った、月の光が強くなると。
・感動・詠嘆的に表現をすることで印象を強くしようとする表現。
例 何と言うことだ、何だっていうんだ。悪いのはあいつじゃないか。
・明白なことをあえて疑問の形にして注目を集める技。
例 私はどうしてここにいるのだろう。何か買うためか、いや全然違う、君に会うためだ。
・命令の形を作ることで文意を強めようとする方法。
例 みよ、この世の人間のおろかさを。
・一度疑問の形を出しておいてあとから激しく否定するもの。
例 これは君のせいだろうか、いや、私がしっかりしていなかったせいだ。
・同じ言葉や似た表現を繰り返し、文意や情趣を強める方法。
例 川が流れる。どうしてこんなに虚しいのだろう。川は流れる。
・ある物事を列挙しておいて自分の意図を多面的に述べる技法。
例 輝く星。煌く月。漆黒の海。冷たい風。その全てが僕達を黙ってみている。
・語調の似た表現を用いて文章の調子を整える技。
例 右には君が天子の顔で微笑んでいる。左には母が悪魔の顔で睨んでいる。
・相反する2つの事柄を述べることによって両者の違いをはっきりさせる方法。
例 あいつは君のことが好きかもしれない。だけど僕はあいつなんかよりずっと君を愛してる。
・文章が不明確にならない程度に省略して表現をひきしめたり、想像させたりする方法。
例 僕はそいつに母の悪口を言われた。かっとなって・・・そいつは自分の腹をなでながら立ち上がった。
・有名な文章などの一部を引用することで品位や変化を出している。
例 本当だ。春眠暁は覚えずというが君が起こさなかったら僕はいつまでも寝ていたかもしれない。
・文をわざと短く区切ることで簡潔で力強い文章を表現する。
例 起き上がる。窓を見る。大きく息を吸い込む。窓を開ける。思い切って飛び降りた。
・過去や未来のことを現在の形にして臨場感を持たせる。
例 天保3年。ある男が江戸で刀を振り回している。その男は大声で何か叫ぶ。
・過去や完了の形をあえて用いて各文の独立性を印象付ける。
例 牢屋に閉じ込められた。私は何もしていないのだ。冤罪で調べもしていないのだ。
・文中に独立的な言葉を入れ込んで表現に変化をつける。
例 あの子の家に行くといつも温かいお茶を出してくれ、個人的には冷たい水で十分なのだが、いつも例を言って飲ませてもらっている。