田園     written by 蓉茜悠

真夏の太陽を浴びて輝く田園
これは
日本の源で
心の源で

時が流れて減っていった田園
風が流れるように過ぎ去っていく時
風には逆らえても
時には逆らえないから
雲の行き先がわからないように
流れた時もどこに行ったかわからない
だけど流れていった時は
思い出となり
その人の力ともなり

だから
私はここへ来るといつも幼い頃を思い出す
母と歩いたあぜ道
夕日に照らされた田園や
黄金色に変わる田園
私の過去の源でもあって

なくなってほしくない
これ以上減ってほしくない
無理なことかもしれないけれど
それが私の願いであって
私の思い出でもあって

田園を眺めている私の横を
車が通り過ぎていき
風とともに去っていき
汚れた空気と
時にはゴミを捨てて

そんなけがされた景色は
昔はなかった
あぜ道はアスファルトに変わり
田園だって埋め立てられて 家が建って

無常な世界だけれど
仕方ないかもしれないけれど
私は思い出とともに生きていることは忘れない