アサガオ〜秋の始めの、夏の匂いをのせた風〜
             written by 蓉茜悠

アサガオが咲いた
久しぶりに目を合わせた
今日は朝日を追っている
夏の盛りのように

でも
夏が終わってから顔をあまり開かなくなった
冷たい秋の風に怯えて
顔を隠してしまった

夏の朝日をじっと見つめていた
見えるときはいつでも
だけど
朝日はアサガオよりも素晴らしいものを
曇りの間に見つけたようだ
アサガオはそうとも知らず
再び晴れるのを待った
一途に待ち続けた

秋の始めの、夏の匂いをのせた風に葉が揺れた
だけど見えた朝日はあの時とは違った

夏の朝日が言った永遠
アサガオが見ていた永遠
同じ永遠ではないことを
秋の朝日が物語る

アサガオは朝日が振り向いてくれたのを
どれだけ喜んだのだろう
だけど
今は
もう
通わない

秋の始めの、夏の匂いをのせた風が
切なさを甦らせた
夢をみていた永遠を感じた夏の日を
戻ることは出来ない君がいたはずの夏を

BGM:Royalcafe