誰もいない。
僕しかいない。
何もない空間を一人空虚に彷徨う。
僕だって、わかってはいた。
いつまでも、僕は変わらないと。
だからこうなのだと。
それは、変えられないのではない。
変えられないのだろう。
バラが散りゆくように。
命が潰えるように。
今の僕にとって、不変の真理はただひとつ。
心の中に雨が突き刺さる。
火照っていた体は、とっくに冷えていた。
見えるものは数少ない。人ごみの中にいるようで、
全てが蜃気楼にすぎない。
目を閉じて、また目を開けると、何もない。
聞こえるものは多い。無邪気な笑い声だったり、
世間話だったり。
僕には関係のない話。
夏の暑さが、この世界を染める。
星は瞬く。
誰にも見られずに。
歩道に座り込み、うつろに下を向く。
僕の横で時間が流れていく。
僕の前で光が流れていく。
僕の中では、何も変わらない。
あの笑顔も、あの美しさも、無縁の世界。
遠く遠く、手が届かない。
僕の中に、流れるメロディは、
常に変わりはしない。
BGM:Royalcafe